本レポートは、2024年3月のDeFi市場動向をまとめたものになっています。
マーケット概観と定点データ
- 3月のビットコイン相場は、ETF承認後の上昇相場のままに約73800ドルまで推移し、ATHを更新しました。その後、一時約61000ドルまで下落するなど、約30%ほどの大きなボラティリティを見せました。
- ETFをきっかけとする流入により、ビットコイン相場は上昇をしてきましたが、資金流入が流出へと転じたことによって、この下落は引き起こされました。しかし、19日のFOMCにおいて、政策金利が市場の想定と異なりタカ派ではなかったため価格は反発し、回復基調となりました。その後は、およそ65000ドルから72000ドルの間のレンジで推移していきました。
- BTCをきっかけとしてTVL全体が上昇しましたが、BTCドミナンスは低下しているため、アルトコインへと資金が流入したものと思われます。
- イーサリアムDencunアップグレードにより、L2手数料が全体的に減少しました。それに伴い、L2のトランザクションの数も増加しており、中でもArbitrumにその傾向が顕著に見られました。
- EigenLayerを中心としてLRTへ資金が多く流入していますが、徐々にビットコインL2プロジェクトに対しても関心が高まっており、資金の移動が見られます。
主要プロダクト動向
MakerDAO
ETHおよびWBTCを含むさまざまな担保資産の安定化手数料(Stability Fees)が引き上げられました。各手数料は、15%から17.25%の範囲で推移しています。
また、sDAI保有者のDSRを5%から15%に、SparkLendユーザーのDAI Borrow APYを 6.7%から16%に引き上げる提案も承認され、実装されました。これに伴い、SparkLendの借入総額は70%ほどの下落を見せています。
The latest Executive Vote has just been approved on Twitter / X
Ethereum
3月13日にDencunアップグレードが行われ、L2手数料が引き下げられました。
これに伴い、OptimismやArbitrumでは、TVLの推移以上にトランザクション数が伸びており、既存ユーザーのアクティブな度合いが増しています。
こうした手数料削減によるトランザクションの増加は、他L2でも同様に波及すると思われます。
Less than 24h before Dencun on Twitter / X
EigenLayer
3月14日に、オペレーターとEigenDAをメインネットに導入するための6つのフェーズからなる段階的なメインネットロールアウトを発表しました。
現在、EigenLayerを中心とした各リキッドリステーキングプロジェクトの開発が盛んとなっています。3月ではether.fiやRenzoにてエコシステムが拡大しており、特にether.fiはエアドロを実施しています。
EigenLayerエコシステムの活発化は、今後も続いていくものと思われます。
EigenLayer Mainnet: Preparation for launch on Twitter / X
ステーブルコイン
- プロトコル発行のステーブルコインの中では、USDeが一際大きな伸びを見せており、先月末と比較しておよそ200%ほどの急増となりました。この背景として、懸念の声がありながらも、20%以上もの高い利回りを提供していることが挙げられます。また、USDeを発行するEthena Labのエアドロップが4月に控えていることも、追い風となったと考えられるでしょう。
免責事項
- 本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
- 本記事に掲載された情報や意見は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性、完全性、目的適合性、最新性、真実性等を保証するものではありません。
- 本記事上に掲載又は記載された一切の情報に起因し又は関連して生じた損害又は損失について、当社、筆者、その他の全ての関係者は一切の責任を負いません。暗号資産にはハッキングやその他リスクが伴いますので、ご自身で十分な調査を行った上でのご利用を推奨します。